2026.02.20
腸脛靭帯炎(ランナー膝)は鍼灸で改善できる|再発しにくい身体を作る「原因の見立て」と治療戦略
はじめに|ランナーとして、鍼灸師として伝えたいこと
私自身、フルマラソンのトレーニング中に腸脛靭帯炎を発症し、約半年まともに走れない時期を経験しました。
私の妻も走りすぎによる腸脛靭帯炎で悩みましたが、鍼灸治療と走動作(フォーム)の再教育を組み合わせることで競技復帰し、その後は再発していません。
腸脛靭帯炎は「膝だけの問題」に見えますが、実際は走り方・身体の使い方・筋膜の緊張・自律神経状態が複合して起こることが多い障害です。
本記事では、一般の方にも読みやすい言葉で整理しつつ、鍼灸で改善・再発予防につなげるための考え方をお伝えします。
腸脛靭帯炎とは
腸脛靭帯炎(Iliotibial Band Syndrome:ITBS)は、太ももの外側を走る「腸脛靭帯」に負担が集中し、膝の外側に痛みが出る代表的なランニング障害です。
【よくある症状】
・走っていると膝の外側が痛くなる(特に後半)
・下り坂・ペースアップで悪化しやすい
・休むと軽くなるが、走ると再発する
痛みが強いと「ズキッ」として、走り続けることすらできないですよね。
わかります、その痛み。
腸脛靭帯炎が起こる「一般的な原因」
腸脛靭帯炎は「走りすぎ」だけで起こるわけではありません。
フォームの癖や身体の使い方の偏りがあると、同じ走行距離でも発症しやすくなります。
【代表的な要因】
・骨盤が左右に落ちる/揺れる
・膝が内側に入る(ニーイン)
・上半身が左右にぶれる(腕振りの乱れを含む)
・大腿外側(大腿筋膜張筋〜腸脛靭帯ライン)への荷重が強い
腸脛靭帯は大腿部の外側なので、”膝や大腿部の内外のブレ”が大きく影響します。
”内外のブレ”を引き起こす要因の一つとして、上半身や骨盤の左右のブレが挙げられます。
「剪断ストレス(せんだんストレス)」をわかりやすく
腸脛靭帯炎を難しく感じさせる言葉の一つが「剪断ストレス」です。
剪断ストレス=組織が“ズレながら擦れる力”のことです。
ランニングでは、膝の曲げ伸ばしのたびに腸脛靭帯周辺で微妙な“ズレ”が繰り返されます。
そこにフォームの崩れや筋膜の強い緊張が加わると、
・ズレが大きくなる
・滑り(滑走性)が悪くなる
・刺激が同じ場所に集中する
結果として、膝外側の痛みが出やすくなります。
硬いゴムチューブをピンと引っ張りながら、石に擦り付けてるイメージです。
それは痛いですよね。
腸脛靭帯炎は「膝だけ」ではない|上半身・腕振りの影響
ランニングは全身運動です。
腕振りや上半身が乱れると、骨盤が過剰に回旋・側屈しやすくなり、膝外側の負担が増えることがあります。
ありがちなパターン
◆腕が横に振れる → 体幹がねじれる → 骨盤がぶれる
◆胸郭が硬い/肩甲骨が動かない → 代償で腰・骨盤が動く
◆疲労で上体が沈む → 接地が乱れ外側に負担が乗る
膝に出ている痛みでも、原因が上半身にあることは珍しくありません。
私はランニング中の腕振りを変えただけで、腸脛靭帯の痛みがスッと抜けることもありました。
炎症が起こっている腸脛靭帯を診るのではなく、腸脛靭帯に負担がかかるフォームになっているかを見る必要があります。
腸脛靭帯炎は、治療で痛みが引いても、身体の使い方が同じなら再発しやすい障害です。
局所だけでなく、フォーム、フレームを見直すことが、再発を大きく減らします。
東洋医学の視点|なぜ腸脛靭帯炎に「胆経・胃経」が重要なのか
ここからは東洋医学の視点です。
腸脛靭帯炎の改善・再発予防において、特に重要になるのが”足少陽胆経”と”足陽明胃経”です。
というのは、足少陽胆経と足陽明胃経が腸脛靭帯、大腿筋膜張筋を流注している(流れている)からです。


この経絡図をみると良く分かると思います。
腸脛靭帯が痛む原因や、回復しにくい理由として、”胆”や”胃”の関与もあるのです。
腸脛靭帯炎に対する鍼灸の役割|「局所+全身」を同時に整える
鍼灸の強みは、痛いところだけに対処するのではなく、全身の状態(張力・回復・運動連鎖)を同時に整えられる点です。
1)大腿外側ラインの過緊張を緩め、局所(膝外側)の負担を下げる
腸脛靭帯付着部周囲、外側ラインの緊張を評価し、負担が集中しているポイントを丁寧に確認します。
大腿外側(大腿筋膜張筋周辺)、臀部外側など「外側の張り」が抜けない人は多く、ここは緩めるポイントです。
2)腰・骨盤帯(動作の土台)を整える
走動作は骨盤帯の安定性に大きく依存します。
腰〜骨盤の緊張や左右差が強い場合、膝外側に負担が逃げやすくなります。
骨盤回り、腰背部の左右差も整えておきます。
3)胆経・胃経の経絡+臓腑の診立て
胆経・胃経の状態と、肝胆・脾胃の不調を診立てて、痛みの改善と共に再発しにくい状態に向けて治療します。
「局所の痛み」+「全身の歪みや左右差」+「臓腑経絡の異常」これらを整えることが、腸脛靭帯炎に対する最速、最善の治療になります。
まとめ|腸脛靭帯炎は「全身の運動制御エラー」として捉える
・腸脛靭帯炎は膝外側の痛みとして現れるが、原因は全身にあることが多い
・剪断ストレス(ずれながら擦れる力)が集中すると痛みが出やすい
・上半身・腕振りの乱れが骨盤のブレにつながり、膝外側に負担が集まることがある
・東洋医学では胆経・胃経の不調が重要な視点になる
・鍼灸は全身を整えた結果、局所の痛みが改善するため、再発予防につなげやすい
腸脛靭帯炎で走れない期間が続くとストレスですよね。
私も走る度に腸脛靭帯を痛めてましたが、ハーフマラソン、フルマラソンを走っても腸脛靭帯炎は全く起こらなくなりました。
フォームや身体の癖も確認しながら、再発しない強い膝を作れるようにサポートします。
腸脛靭帯炎、ランナー膝でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。