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小児のチック症について鍼灸の観点から徹底解説

 

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小児のチック症

小児のチック症は小児の病気の中でも非常に多く、悩まれているご家庭も多いのではと思います。

我が家の長男も小学4年生頃から目をパチパチする症状が出始め、首を振る、喉を鳴らすなどチック症状がいくつか発症しました。

こういった症状には鍼灸治療が非常におすすめです。

今回はチック症とトゥレット症候群について解説し、我が家の長男のチック症状が鍼灸治療で改善した症例を挙げていきます。

1、チックとは?

チックとは症状名であり、病名でもあります。

やろうとしているわけではないのに、突然、体の一部がすばやく動き、それを何度もくり返す状態がチックです。

不自然なまばたきや眼球の動き、首振りなど、動作として現れるものだけでなく、口や鼻、喉の動きとして生じれば、音や声、言葉のくり返しとして現れることもあります。

2、発症率は小児の10~24%

実は子どもの10人に1~2人にみられる、ありふれた症状です。

特に診断、治療を受けていないという場合も多いのが実情です。

チックのある男子は女子の約3倍なので、女子より男子に多くみられます。

はじめてチックがあらわれた年齢は2~13歳という人が大半を占め、発症年齢の平均は6~7歳で、大部分が10歳までに発症します。

我が家の長男もちょうど10歳になるころに目のパチパチが始まりました。

3、運動性と音声の2種類にタイプが分けられる

◆運動性のチックの例

・口の周りをなめる

・顔をしかめる

・まばたき

・肩をすくめる

・ジャンプする

・片足をひきずる

・ものにさわる

・口をあける

・うなずくように首をふる

・手で鼻をこする 

 など

◆音声チックの例

・「フンフン」鼻をならす

・下ネタやひわいな言葉を言う

・奇声を発する

・自分で言った言葉をくり返す

・相手の言葉の語尾をくり返す

・せきばらいする

 など

4、複数のチックが同時に起こることもある

チックの多くは、特に治療しないままいつの間にか消えてしまう一過性のものです。

現れる症状は、1~2種類の単純性チックであることが大半です。

しかし、ひとつ消えたかと思うと、また別のチックが現れるといったように、異なる単純性チックが次々に出現することもあります。

また、全身にわたって複数のチックが同時に起こることもあれば、運動性チックと音声チックの両方が出現することもあります。

我が家の長男も、まばたきが治ったと思えば、咳払いが出て、チックが出現する部位が時々変わっていました。

5、1年以上続くと「慢性」になる

ひとくちにチック症といっても、パターンは実に様々です。

なんらかのチック症状が1年以上に渡って続く場合には、慢性のチック障害ととらえます。

その中でも、より重症なものがトゥレット症候群です。

トゥレット症候群の症状は、ほかのチック障害と同様、チックそのものです。

1~2種類の運動性チックで始まり、やがてチックが現れる部位が広がり、音声チックが加わっていくというのが一般的な進み方。

その状態が1年以上続けば、トゥレット症候群と診断されます。

他のチック障害に比べると症状の数が多く、持続期間も長く、生活上の問題を多く抱えがちです。

ただし、重症度は人によって大きく違います。

また、患者数は1万人に4~5人程度といわれあまり多くはありません。

6、100人中95人は自然に消える

チックの大半は一過性のもので、100人のうち95人はとくに治療することなく、自然に消えていきます。

不自然なまばたきをくり返していたけれど、いつの間にかしなくなったというのが典型的なパターンです。

とはいえ、ひとつの症状が目立たなくなったと思ったら、今度は別の症状が現れることもあります。

多くは1年以内に治まりますが、1~2種類のチックが残り慢性化することもあります。

7、チック症の西洋医学的な考え

チックの出現は、脳の神経伝達物質のトラブルと考えられ、大脳基底核といわれる部位になんらかの変調があるのではないかと考えられています。

これは、チックを抑える薬があることからわかってきました。

その薬の作用の仕組みから逆に、脳内の神経伝達物質ドパミンの働きが偏っているのではないかと推察されたのです。

脳が原因ということで落胆したり、不安を覚えたりするかもしれません。

しかし、脳の問題といっても、多くは成長とともに修正されていきます。

ひどい症状に対しては有効な薬物療法などもあります。

そんなに心配することはありません。

8、チック症の東洋医学的な考え

チックを東洋医学的に考えると、内風(体の内側で起こっている風)が原因です。

眼瞼、声帯、喉、肩などの筋肉が、自分の意思ではなく勝手に動いてしまう状態は、体の中で風が舞っていると考えます。

風が木や旗を自然と揺らすように、体の内側の風が筋肉や意識までも勝手に動かすのです。

チックが起こりやすい体質には大きく分けて5パターンあります。

1、肝風

ストレスが溜まっているパターン。

突発的に強めの発作が起こるのが特徴で、イライラしたり、緊張したり、精神的負担が強くなると症状が出てきます。

2、風痰

体の中に水が余ってしまっているパターン。

肥満傾向、浮腫、痰絡みなど、脂肪や水が溜まっている様な症状を伴い、天気の影響や、食事の量や内容によって、チックの症状に変化が出てきます。

3、脾虚風動

胃腸が虚弱なパターン。

食欲不振、食が細い、疲れやすいといった特徴があります。

4、血虚風動

血液が不足しているパターン。

眼精疲労、髪の弱り、爪の弱り、顔や皮膚に赤みが無く血色が悪いなどの症状を伴います。

ハードな運動をしている人、PC、スマホ、ゲームなどで、長時間目を使っている人などは、血液を消耗しやすい体質です。

5、陰虚風動

体を潤すことができていないパターン。

潤い不足で体が熱化してしまい、ほてり、のぼせ、口の乾きなど、熱っぽい症状も出現します。

大量に発汗した後や、睡眠不足によって悪化することが多いです。

9、症例(我が家の長男の場合)

【現病歴】

長男が小学4年生の頃、会話をしている時に目をパチパチさせるようになっていました。

始めは、ゲームやYouTubeの見過ぎで目が乾いていると思いあまり気にかけてませんでした。

それから数か月、ストレスが加わると明らかに目をパチパチさせていたので、チック症状だなと気づきました。

よくよく考えたら、ちょうど、

「学校行きたくない・・・」

と言ったり、学校のあと泣いていたりしていた時期に発症していたので、そのことがきっかけとなり発症したのかもしれません。

その後、元気に学校に行くようになり、症状は落ち着きましたが、今度は小学6年生の頃に首を振る動作が始まりました。

首を振る動作が自然と治ると、喉を「ンッ、ンッ、」と鳴らす症状が出始め、1つ治るとまた違う症状が出てくるので、鍼灸治療を開始。

【問診、体表診察情報】

脈:弦脈、脈力、脈幅、重按有り

舌:紅舌、薄白苔、尖辺無苔

経穴:太衝穴、肝兪穴に実の反応

増悪因子:ストレス時、勉強中、テスト前

緩解因子:リラックス時、ゲーム中

こういった所見や問診情報から、“肝風”によってチック症状が起きていると考えます。

【治療内容】

ストレスを緩和させ、リラックスさせる効果がある経穴に鍼を1本刺す。

【経過】

長男の場合は3回の鍼灸治療でほぼ症状は出なくなりました。

例え、これまでと同様のストレスが加わったとしても、チック症状が出ることはありません。

今後もチック症状が出にくい体質に改善する為に、日々の食事内容、運動習慣、睡眠時間を見直して、規則正しい生活を送るように伝えています(本人のストレスにならない程度に)。

10、まとめ

ストレスの多い出来事のあと、チックが始まったり、ひどくなったりすることがあります。

そのためストレスがチックの原因と考えられていた時代もありました。

しかし、チックはストレスだけでは発症しません。

ストレスは単なるきっかけのひとつにすぎないのです。

また、これといったきっかけが思い当たらなくても、チックが現れることはあります。

心理的な要因が症状に関連することはあるものの、子どものストレスになることをすべて取り除いてみても、それでチックが消えるわけではありません。

前述の通り、東洋医学的に体質を分析するといくつかのパターンに分類されます。

チックという症状だけに注目するのではなく、チックを引き落としやすい体質に目を向けて鍼灸治療をしていきます。

コツコツ鍼灸治療を受けて、ストレスを感じても心身に影響の出にくい状態に変え、脳内、筋肉、神経などの血流が正常に保てるように、体質を改善していくことが重要です。

チック症が出にくい体質にするためには、鍼灸治療は一つの有効な手段です。

チック症でお困りの方は、お気軽にご相談下さい。

参考文献

藤本蓮風監修、『臓腑経絡学』、アルテミシア、2014年

一般社団法人北辰会学術部、『鍼灸臨床能力 北辰会方式理論篇』、緑書房、2016年

一般社団法人北辰会学術部、『鍼灸臨床能力 北辰会方式実践篇』、緑書房、2016年

神戸中医学研究会、『症状による中医診断と治療 上巻』、燎原書店、1987年

楊甲三、『全訳 腧穴学』、たにぐち書店、2002年

王徳深、『中国針灸穴意通鑑 上巻』、青島出版社、2004年

星加明徳、『チックとトゥレット症候群がよくわかる本』、講談社、2010年

日本トゥレット協会、『チックをする子にはわけがある トゥレット症候群の正しい理解と対応のために』、大月書店、2003年

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